Area

 ご縁あって交流し始めた国・地域。それがモンゴル、中国雲南省プアール市と日本の近畿地方です。これらの地域をつなぐ輪のなかで、東アジア地域における21世紀型コミュニティの構築を目指し、教育・研究・社会実践一体型の活動に取り組んでいます。
 これらの国・地域は自然の楽しさと大切さを私たちに教えてくれたと同時に、環境問題や少子高齢化など多くの課題を抱えていることを知らせてくれました。
 私たちは地域に暮らす人々と信頼関係を構築、維持することで、支援する側、支援される側という立場を超えてきました。地域に暮らす人々と発想や経験を共有すれば、地域に根差した自然資源の持続可能な利用の道が開かれ、よりよい未来につながることを感じてきました。

理念と活動

モンゴル 中国雲南省 兵庫県宍粟市 奈良県十津川村 滋賀県長浜市
モンゴル 中国雲南省 兵庫県宍粟市 奈良県十津川村 滋賀県長浜市

海外

モンゴル

なぜ、モンゴル?

 2007年夏のことです。日本で出会ったモンゴル人留学生の案内のもと、モンゴルのウブルハンガイ県を訪れました。そのときの光景は今でも忘れられません。現地では個人や企業による砂金採掘がなされ、オンギー川(※)の水が失われ、上流から中流が枯渇していました。
 草原に依存して生きてきた遊牧民が一体なぜ?
 このとき無性に何とかしたいと思いましたし、何とかしたいという意志を持った現地の人々と出会ったため、まずは川の保護から始めることにしました。

(※)モンゴルでは北へ流れる川がほとんどですが、オンギー川はモンゴルでも珍しく、ハンガイ(山脈)を下り、南ゴビ県まで流れます。

どんな活動をしてきたか?

2008年~2009年 環境人材育成、小学校での環境教育活動
(ドイツ民間環境支援プロジェクト)
2008年~2012年 オンギー川生態調査および遊牧民の生活変化の調査
(2008年 JICA大阪助成金)
2012年~現在 モンゴル国ウブルハンガイ県における大阪大学海外フィールドスタディプログラムの実施 (計5回)
2013年~2014年 「モンゴル国オブルハンガイ県オンギー川流域における柳林保護および越冬用飼料(草)の栽培に関する協力活動」(りそなアジア・オセアニア財団 環境プロジェクト助成)
2015年~2016年 「モンゴルにおけるサイレージ技術の導入を通じた自然災害への地域適応力の向上および防災・環境教育の普及、発展」 (同上)
  • 環境保護区域において柵の設置による白い柳の保護
  • 環境保護組合員の生活支援につながる家畜越冬用飼料の栽培と貯蔵
  • サイレージの保存・加工、サジ(グミ科の植物)の加工販売やその他希少植物の試験栽培
  • 柳林及び洪水で破損した道路の整備、観光事業による収入を白柳の保護に充当
  • 遊牧民に対する技能研修の実施
2020年~現在 「モンゴル国における生物多様性保全教育センターおよび栽培基地の構築」
(りそなアジア・オセアニア財団 環境プロジェクト助成)

<実績>

2012年 ドイツ環境大臣賞 受賞
2016年 支援先の環境保護組合 モンゴル民間環境保護活動モデル団体に認定
2018年 大阪大学住野勇グローバル人材育成基金(外国人留学生国際交流支援事業)
モンゴル、中国フィールドスタディ 最優秀グループ採択
2019年 モンゴルにおける最優秀環境保護活動家認定、モンゴル環境大臣賞受賞

私たちが目指すこと。

モンゴルでは産官学連携で学校や民間施設において新たな環境教育をおこないます。

1.生物多様性保全・環境教育センターの設立、運営サポートプロジェクト モンゴル中央県において、モンゴル科学アカデミー生物学研究所、モンゴル国環境省、地域住民の協力を得て、東アジアの生物多様性の保全と環境教育の拠点となるモンゴルでは初となる民間施設の設立をおこないます。
ここでは夏季休暇を利用して小中高校生、大学生、そして地域の方々にモンゴルの環境問題について地域から学ぶ体験型環境学習を実施します。また、地元住民と企業と連携し、モンゴル国内で絶滅の危機に瀕している希少植物を保全したり、栽培に成功した植物は地域における持続可能な利用を実践します。

2.十二年制学校における環境教育プロジェクト 大阪大学海外フィールドスタディプログラムの実績をふまえ、モンゴル国内で総合学習の時間を利用した新たな環境教育プログラムを試行します。

現地パートナーからのメッセージ

 日本の皆さん、こんにちは。バトツェレン・ツァンバーです。
 私はモンゴルのゴビ・アルタイ県の遊牧民の家庭で生まれ育ちました。小さい頃から山、砂漠、草原でよく遊んでいましたし、その中で次第に植物に興味関心を抱くようになっていました。
 高校を卒業後、植物についてもっと学びたいと思い、モンゴル国立大学で生物学を専攻しました。植物について知れば知るほど、モンゴルでは世界的にみて希少植物が多数生息する一方、絶滅の危機に瀕していることがわかって きました。また、モンゴルとロシアの大学院でも植物の研究をおこなってきましたが、研究の継続と国際協力の必要性を強く感じてきました。
 2015年よりモンゴル国立科学アカデミー生物学研究所で国内の植物分布や希少植物の生息状況の調査を行い、植物の保護を目的とした栽培技術の研究も進めてきましたが、これらの経験を環境教育に活かすことが重要だと考えるようになっていました。ちょうどその頃、思沁夫代表と出会ったのです。
 環境教育はすぐに実現しました。2019年、モンゴルで初となる民間の生物多様性保全・環境教育センターを設立、2020年にはりそなアジア・オセアニア財団の助成金でセンターを取り囲む柵の建設が完了、地域の親子を対象に環境学習「ふるさとの川を語ろう」プログラムを実施しました。
 植物の栽培、そして環境教育も緒に就いたばかりでまだ課題もありますが、希望もあります。センターのスタッフならびに地域の遊牧民とともに人々の記憶に残る活動を目指していきたいと思います。また、日本の宍粟市や中国雲南省など地域間で経験を共有し、環境教育プログラムの改善と継続に尽力して参りたいと思います。


バトツェレン・ツァンバー

中国雲南省

なぜ、中国雲南省?

 2005年、中国で初となる環境NGO自然之友の会員となり、中国雲南省のシーサンパンナ(西双版納)などにおいてキンシコウ(黄金色の神秘的な雰囲気のある猿で有名です)の保護に携わったことで雲南省とのつながりができました。
 その後、同省プアール市内のプアール学院大学、森盛林化株式会社、ゼブラ珈琲会社へと人的ネットワークが広がっていきました。のちにプアール市を中心に大阪大学海外フィールドスタディプログラムを実施することになります。
 雲南省は世界の中でも生物多様性に富んだ地域であり、農業も盛んで多様な暮らし方、美味しい食べ物がとても魅力的ですが、都市開発や河川、土壌汚染などの環境問題も抱えています。一方で少数民族による有機農業や地元企業の循環型ビジネスモデルの挑戦など、新しい取り組みもなされているため、様々なテーマを組んで学習、実践することができます。

どんな活動をしてきたか?

 地元企業である森盛林化会社(雲南省のグリーン企業、プアール市のモデル事業として表彰実績があります)と環境・社会・経済循環型モデル構築に向けて研究実践を進めています。
 次にゼブラ珈琲会社の有機栽培研究開発プロジェクトです。雲南省が珈琲栽培が盛んな地域であることはあまり知られていませんが、とても良質なコーヒー豆が収穫でき、日本でも販売されています。現地では豆の洗浄後の排水によるメコン河汚染という環境問題を解決すべく、コーヒー豆栽培の有機化を推進しています。
 現在は上記2社と連携し、学生や社会人の専門性を活かした教育実践にプログラムも取り組んでいます。

2010年~2014年 中国農業大学、雲南財経大学、雲南大学と連携
中国における食文化、食の安全について基礎調査
  • 大阪大学組織的な大学院教育改革推進プログラム
     「健康環境リスクマネージメント専門家育成」海外交流プログラムの実施
     (中国雲南省における海外フィールドスタディ)
中国雲南省における生物多様性の現状と課題、開発がもたらす影響に関する調査研究(科学研究費、小林製薬国際助成)
2015年 プアール学院大学との教育連携
環境・経済・社会の持続化モデル構築に向けた少数民族文化を活かした観光提案、生物多様性を活かした農業の基礎調査研究スタート
2016年 世界自然保護基金(WWF)と連携
少数民族の生活文化を活かした観光と生物多様性の利用について調査研究
2017年~現在 プアール市地元企業と連携した循環型社会の実現
森盛林化株式会社(松脂産業)
ゼブラ珈琲会社

  • ゴム生産過程において発生する産業廃棄物の再利用
  • コーヒーチェリーで有機肥料づくり
     (森の多様性維持とコーヒー豆栽培の持続可能性)
  • 土壌改良用木炭生産工場の建設(関西産業会社による技術協力)

私たちが目指すこと。

 雲南省はモンスーンの影響を受けた照葉樹林文化の発祥地と言われています。
 一方でモノカルチャーの影響を受け、地域の多様性が急速に失われています。
 地元企業や住民、自治体、教育研究機関の方針や意向に寄り添い、ゴムやコーヒーの生産過程で生じる産業廃棄物の多目的利用を提案、開発することで環境、社会、経済の循環型モデルを構築します。

現地パートナーからのメッセージ

 みなさん、はじめまして。孫爽です。
 私たちは中国雲南省の地方に暮らし、夫婦で有機コーヒー事業を営んでいます。
 1980年代、私たちは孟連という村で生まれました。孟連は自然豊かで、様々な少数民族が暮らしています。夫の李少坪(みんなは「アシン」と呼んでいます)はタイ族、私は漢族です。民族は違いますが、食事の好みは一緒で、辛い物が大好きです。
 2000年以降、改革開放の影響から、新たな事業に乗り出す村人が増え、村外の人々との交流の機会も増えました。アシンは銀行員を辞め、不動産業を始めました。私は子育てをしながら旅行業や飲食業に携わり始めました。
 さて、私たちはなぜこの村でコーヒー事業を営んでいるのでしょうか。孟連ではコーヒー豆の収穫量が多いものの、スターバックスやネスカフェ、その他巨大企業の原材料提供にとどまり、ハニ族、タイ族、ワ族などの農民たちがコーヒー農業で生計を立てるのは厳しく、大切な村の物的、人的資源の流出に歯止めがかからないからです。私自身コーヒーを飲むのにまだ慣れませんが、香りは好きです。村人とコーヒー豆を生産、販売して、その利益を村に還元したい。そこで、私たちは2019年、ゼブラコーヒー会社を設立したのです。
 同時期、幸運にも、思沁夫先生率いる大阪大学の学生たちとお会いすることができました。思先生、同行した上須先生、阿部さんはコーヒー事業に関わる様々なアドバイスをしてくれ、私たちのコーヒーを日本に紹介してくれました。学生たちも私たち企業が抱える課題を分析し、解決に向けた取り組みを提案してくれました。
 コーヒー豆の輸出量は着実に増えていますし、日本からのサポートは私たちにとって大きな励みになっています。今後は村で有機コーヒー産業と旅行業を融合した新しい事業を実現したいです。日本の品質管理や基礎研究からもたくさん学びたいですし、発酵文化を活かしたコーヒーの応用法を開発して美味しいコーヒーを日本、そして世界に届けたいと思います。

娜山茶納水旅行開発有限株式会社
プアール上宝斑馬珈琲有限株式会社
社長 孫爽

雲南省プアール市孟連県新康商貿有限株式会社
プアール市孟連県同恵置業有限株式会社
社長 李少坪(アシン)

国内

兵庫県宍粟(しそう)

なぜ、兵庫県宍粟市?

 先生が授業のフィールド、探してるんだったら…。
 2011年だったと思います。ある日、学生の紹介で知り合ったのが兵庫県宍粟市鷹巣(たかのす)にいらした藤原誠先生でした。その後、福元市長や宍粟市商工会の長田会長の献身的なサポートもあり、訪問する度にここに住みたいと思わせてくれた、それが宍粟市でした。(実際に2020年6月6日、宍粟市山崎町で民家を借り、社団法人の拠点を構え、法人代表はここで暮らすことになりました。)
 日本で森があるのは当たり前です。一方、モンゴルの森は国土の5パーセントあるかないか程度です。こんなに自然豊かでありながら、何もないと言う地域住民にたくさん出会ってきました。
 森の存在が必ずしも豊かさにつながるとは言えない。日本の森についてもっと知りたいと思いました。

どんな活動をしてきたか?

 大阪大学の授業「環境問題への回路」の実習先として、森や里山の保全、まちづくりについて学んでいます。

私たちが目指すこと。

 今後は自治体、地元企業や地域住民と協働で地域の森と発酵文化の歴史を活かした教育、実践活動に取り組みます。
 身近な森と文化を守りながら、森を人の暮らしに活かし続けること。教育を通して地域の人びと、特に若者に地域の可能性を伝えていきます。

1.課外学習のサポート 地域の小中学校で授業「眼力」(世界を見る感性を育むための授業)を行います。
これは夏期、冬期休暇を利用した課外学習プログラムで、身近な森や文化を通じて地域を見る、地域と世界とのつながりを考えるひとつのきっかけとなる活動をおこないます。

2.発酵文化の応用研究 筍、山菜の発酵食づくりの開発に取り組みます。ここではモンゴルと中国雲南省の在来知を応用することが可能です。宍粟市だけでなく、モンゴルと中国雲南省もそうですが、これらの地域は茶、酒、味噌、漬物、肉、乳などの発酵に関して際立って独特な技術と伝統を有する地域でありながら「地域発祥の発酵文化が地域づくりに十分に活かされていない」という点で共通しています。
発酵文化は地域の風土を活かすための伝統的知識の集積であり、自然資源の持続的利用に適しているだけでなく、循環型農業や食と健康をめぐる産業分野への応用に大きな将来性が見込まれます。

現地パートナーからのメッセージ

 私は宍粟に生まれ、宍粟で育ってきました。
 山の端から昇る太陽を眺め、月や星に抱かれて眠る。四季折々の風情を当たり前の様に体感する。こんな日常を過ごせる宍粟の地は、子ども達が育つのに最高の場所です。
 私たち大人はもっと再認識して、子ども達に教えていかなくてはならないと思います。
しかし今、宍粟のみならず日本の田舎は危殆に瀕しています。田舎の優れた生活、夫々の文化、美しい風景を将来にわたって維持できるのでしょうか?

 私はそう思ってきました。今も思っています。

 そんなとき、不思議な縁で思先生と知り合うことになりました。
 何年かのフィールドスタディを通じて、宍粟に愛着を持ってもらい、ついには「北の風・南の雲」の拠点が宍粟に決まりました。人と自然のあるべき関わり方を探求される「北の風・南の雲」は私たち宍粟市民の目指すべき道と同じくします。
 田舎に住む人たちは「ここには何もない」とすぐ言います。見えてないだけでそんなことはないのに。是非、田舎の人々に認識できるようにしてください。

 今、志のある有為な若者たちが宍粟に集って来てくれています。嬉しい限りです。
 彼らが「北の風・南の雲」で学び、日本のあるいは世界の各地に飛び立って、より良き次代を担ってくれることを期待します。

 田舎が疲弊して日本の未来はありません。物質的豊かさから精神的豊かさへの価値観の転換も必要でしょう。美しい日本(自然も人々も)を守るために、私も何かしら役立っていきたいと思います。

長田 博


町屋ホテル碧雲にて (写真右)長田博さん (写真左)思沁夫
 ホームページをご覧の皆さんにぜひ紹介したい人がいます。それは長田博さんです。
 宍粟市商工会会長、株式会社長田産業の代表を務めておられる長田さん(私は「会長」と呼んでいますので、以下会長と言います)は2020年11月、北の風・南の雲の顧問に就任しました。
 会長のお陰でたくさんのことが実現しました。兵庫県宍粟市に拠点を構えることができましたし、地域の方々とのつながりもどんどん広がっています。私が当初抱えていた不安を解消し、宍粟でもっと頑張りたいという気持ちにさせてくれたのも会長です。それでもまだ私は会長のことを十分に理解できていません。宍粟にとどまらず、日本、世界に対する想いがとても熱く、深いからです。

 会長はご自身の経験をもとにこのような文章を書かれています。

 「何でもいいのですね、自分に何か優れているものがあると、自分でみつけることができれば、自信となり、拠りどころにできるのです。」

 自分にできることを糧に考え、行動する。人とつながり、自然ともつながって、つながることで自信を持って生きていける。会長をはじめ地域の皆さんとつながり合えば、地域の未来を一緒につくることができる。私はそう信じています。

思 沁夫

滋賀県長浜市(山門水源の森)

なぜ、滋賀県長浜市?

 2009年、大阪大学で分野横断型の授業「環境問題への回路」を何科目か担当することになり、課外活動を含む科目もありました。
 当時、滋賀県長浜市にお住まいのある先生から滋賀県で非常に興味深い取り組みをしている環境団体があると聞きました。それが山門(やまかど)水源の森でした。早速案内してもらうと、山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会の代表(当時)藤本秀弘先生の人間性に一気に惚れ込んでしまい、2011年よりこの森と授業でお世話になることになりました。

どんな活動をしてきたか?

 山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会は20年以上に渡ってゴルフ場建設への反対運動をおこない、琵琶湖の水源ならびに湿地を守り続けてきた歴史があります。森では絶滅に瀕している希少な動植物のべ50種以上を保全しています。授業では学生が森の中に入り、現地ガイドのもと森の生態について学び、生態保護活動に参加してきました。

私たちが目指すこと。

 山門水源の森から長期的な視点で考える生物多様性の保全のあり方と地域の持続可能性について学びました。
 日本の地域の多様性を守ってゆくためのボランティアの可能性を探りつつ、現在は生物多様性まるごと博物館の創設に向けて準備を進めています。

奈良県十津川村

なぜ、奈良県十津川村?

 奈良県十津川村は日本で一番大きな村です。急峻な地形と太平洋からの湿った空気が断続的に流れることから日本でも有数の豪雨地帯で、急峻な地形もあいまって昔から自然災害が多く発生している地域です。また少子高齢化や人口減少といった問題も深刻です。ですが、十津川には長い年月をかけて培われた自然と人間が調和した生活文化があります。私たちはおいしい山や川の幸、盆踊りなどの伝統文化、やさしい地域の方々のために何かできないか、試行錯誤しながら活動を行っています。

十津川村神納川地区の盆踊りに参加

十津川村神納川・山天での調査の様子

どんな活動をしてきたか?

  十津川村をフィールドとする「デザインラボ」という授業を軸に、地域(と私たち!)が元気になるための活動を行っています。当初「デザインラボ」では観光や伝統作物の実態調査、自然災害に関するローカル知識の調査、など調査を通じて地域を理解するための教育活動を行ってきました。しかし、2018年度からは地域の方々との交流を通じて地域の理解を深める、という活動内容に変わりました。具体的には、十津川村立十津川中学校との協働で、大学生と中学生が交流して学ぶ「場のデザイン」を行い、夏休みの時間を利用して企画したイベント「とつユメ」プロジェクトを実際に十津川中学校で実施する、という活動を行っています。
 また、「デザインラボ」の受講生が有志で地域おこし団体を立ち上げています。卒業生を含む学生主体のメンバーが、盆踊りなどの伝統行事、十津川村駅伝などの地域活動に参加し、地域を元気にする活動を継続して行っています。

とつユメ2018年:お別れ会の様子

とつユメ2019年:中学生と大学生の合同作品

私たちが目指すこと。

 私たちが目指していることは、十津川の外と中の人のつながりを作り、つながりの中でそれぞれに十津川の魅力を(再)認識してもらうことです。十津川だけでなく日本には多様な自然と文化がありますが、それを担っているのは地域とそこに住む人たちです。経済性や合理性という表面的な理由はありますが、都市に人が集まり地域の衰退が止まらないのは私たちの地域に対する無知と無関心にあると思います。「つながり」から地域の人と私たちが地域の魅力を認識する活動や仕組みを作ることで、日本の地域が持つ多様性を未来に継承していきたいと思っています。